2017年4月12日

それは桂ヒナギクの初恋の話 このエントリーをはてなブックマークに追加 それは桂ヒナギクの初恋の話

桂ヒナギクのブログらしく、彼女の物語について書きたいと思います。

まあ、要所要所、個人的な意見を書いてますけど、大枠は話のまとめです。
あくまで個人的解釈なので、一つの考えとして捉えて下さい。

ハヤテのごとく!における桂ヒナギクは、桂姉妹の物語を終えて登場しているキャラクターの位置づけです。
ご存じの方もいると思いますが、まずはそこから少し触れたいと思います。
元々桂姉妹の両親は、借金8000万円を残して消えてしまっています。

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借金については雪路が無茶苦茶やって全額返済しています。
返済後に今のご両親である「桂」の人達に引き取られている形です。
桂姉妹の物語は、両親が残した借金返済から、新しい両親との出会いであったと思います。
少しだけ脇道に逸れますが、桂の前の苗字はなんだったのか?という疑問があります。
それの答えはたぶんハヤテのごとく!49巻の扉絵で雪路が「蓮美家之墓」と書かれた墓に手を合せていることから、
「蓮美」だったのではないかと思います。
2012年に「ハヤテのごとく!のお茶会」という同人誌を出させてもらっているのですが、
そのインタビューの中で桂姉妹の物語は重たすぎるのでなにか違う話だよといってやるかは考えているというのを聞いています。
確かBSかTwitterでも同じようなことを言われていたのですが、ソースは発掘できてないです。

さて、もう一度言いますが、桂ヒナギクは自分の物語を終えて、ハヤテのごとく!に登場しているキャラクターです。
つまり彼女だけで言えば、エピローグの延長線、もしくは第二部になります。
そんな幼少時代は両親の借金、めちゃくちゃな姉に振り回されていた(想像)彼女の物語は、借金執事への恋物語です。
私はそれを「初恋物語」といってます。

元々ヒナギクとハヤテの出会いは、ナギへの届けものがきっかけですね。
なぜか気になる男の子ぐらいの扱いだったけど、
ハヤテが1億5千万円の借金を両親に押しつけられているというのを知って、
それが自分の境遇と似ていることを知って強く意識することになった。

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何気なく彼に引かれていたのは、自分と同じ部分を無意識下で感じ取っていたからなんでしょう。

ですが、自分の気持ちに気がついた一方で、悩みも生まれる。
西沢さんのこと。
バレンタインデーで西沢さんの気持ちがハヤテに向かっていることは知っているし、
それを応援することを決めていたのに、同じ人を好きになってしまった。

それを黙っていられるわけもなく、西沢さんに打ち明ける。
打ち明けることも覚悟を決めた上での行動だった。
普通に考えて、友人の好きな人を好きになってしまったのだ、何を言われるかわかったもんじゃない。

でも、西沢さんは「え、それだけ......」だった。
さすが西沢さん。
西沢さんの話は「普通の女の子が辿り着いた答え/西沢歩にしかできなかったこと。 - タカヒナの日常境界線」で少し書いてます。

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ここでヒナギクの恋愛において重要な宣言をする。

それは「ハヤテに好きって言わせる」ということ。
恋愛をしたことがない、また彼女の負けず嫌いの性格故の言葉だ。

西沢さんというライバルであり、友人を得て、
ミコノス島では、か弱い乙女をやってみたり、
ハヤテとの関係をどうにかしようとして、
ディナーではどうにか気持ちを伝えようとするけど、

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好きという言葉を口にする前に、ハヤテから「アテネのことがすき」と聞いてしまって、その勇気を振り絞った言葉は言えなかった。

ヒナギクの恋愛の中で、一番ショックだったのはこの出来事だったと思う。
「MAGICAL:LABYRINTH」でのデートは美希の差し金だったことを知った時とは別のショックだろう。
なにせ、自分の想いを口にする前に、想い人の口から好きな人がいると聞いてしまったのだから。
でも、美希や西沢さんから励まされたことで、ヒナギクは立ち直りましたね。

ミコノス島編以降は、ヒナギクの恋愛関係ってわりとおとなしめなんですよね。
大きなイベントで言えば、ハヤテとムラサキノヤカタ(ゆかりちゃんハウス)で生活するようになったことです。
ムラサキノヤカタがメイン舞台に移ってからは、同人編だったこともあって、ルカのサポートでしたね。

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ミコノス島編を経て、ひとつ屋根の下で想い人といても、
ルカからハヤテへの好意に気がつかなくて、LikeとLoveの違いについて考えてしまうんですよ。
もう恋愛関係が本当にダメですね。
そこが良さではあるんですが。

同人誌編の後は千桜から後押しされたこともあって、
伝説の調味料を無人島に取りに行った時にハヤテにアタックを試みた。

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月は綺麗ですね。
とか
毎日、味噌汁が飲みたいとか
それはさすがに通じない......です。

もう一つ大きな話がありますね。
それが修学旅行レベル5直前の話。
ハヤテが誰かと恋愛するには「執事であること」、つまりは「借金があること」というのは大きな障害だと改めて認識したこと。

修学旅行レベル5の逆ババぬきでは、不幸自慢をしながら
ジョーカーを引き当てる展開になりましたが、
こんな一コマがありました。

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ヒナギクが思っている以上に、
好きな人が自分の想いに気がついてくれないことは
不幸ではなかった。

こと恋愛において、それは不幸ではないとは思う。
思ってるだけじゃ、伝わらないというよくあるやつだし。

ヒナギクは一年間でいろいろと経験して積み重ねてきてはいたけど、
結局のところヒナギクは「自分から想いを伝える」よりは「相手に気がついてもらう」
つまりは「相手に好きになってもらう」というのは変わらないままだった。

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でも、物語の最初はいつかハヤテに好きと言わせるといっていたヒナギクが、
物語を通して得た答えは「思うだけじゃ、願うだけじゃ、奇跡なんて起らない」。

それをもって、ヒナギクがハヤテに告白したというのは、正直言えば驚きであり、
成長したんだなという思いです。
正直言えば、連載期間中にヒナギクが告白することはないと思ってました。

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だからこの最終話の行動は「よかった」という思いです。
告白の結末がどうなったかは......最終話を読めば、想像つくでしょう。
初恋を通して、ヒナギクが成長した。
それを得ただけでも、充分です。

なぜなら2007年の自分の記事で書いていたヒナギクのトゥルーエンドへの予想が、
そこまで外れていなかったからです。
下記引用の記事を作ったことで、自分はヒナギクの物語をこうであるとある種の結論を出していました。
だから、最終話を読んで、自分の結論に近かったことを考えて、
「気持ち悪いほどに、自分はヒナギクのファンだったな」と、
自虐と自画自賛をしました。

桂ヒナギクにとってのトゥルーエンドは何か?の結論を述べていく。
ヒナギクがハヤテに告白することがトゥルーエンドではないと思っている。
彼女自身がハヤテに告白すること自体も、通過点の一つに過ぎないのではないかと。
98話も、自分自身の気持ちを認め、なぜ今までそのことを認めることができなかったのということに気がつくたのイベントであり、
気がついたことでエンディングとなっている。
また、彼女にとっての「ハヤテのごとく!」は、「初恋物語(または、恋物語。だが、この記事内では初恋物語とする)」であり、
それを経ての成長する舞台に過ぎないと思っている。

この「初恋物語」にとって、告白の結果というのはさほど重要ではない。
「初恋物語」の本質は、桂ヒナギクにとっての初恋で起きた出来事と彼女自身の成長だ。彼女にとっての初恋で得た何かを持って、
白皇の卒業がトゥルーエンド(「初恋物語のエンディング」)ではないかと思う。
このことは、「ハヤテのごとく!」の中では描かれないと思う。
あくまで、「ハヤテのごとく!」はハヤテの物語だからと考えている。
桂ヒナギクのトゥルーエンドは「ハヤテのごとく!」が終わり、
卒業を迎えるまでに得たものが、「成長の結果」である。だが、畑健二郎という作者が描く今後の作品(ハヤテのごとく!以外)の中で、
何かしらの結論をかいま見ることができるのではないかと私は期待している。
桂ヒナギクにとってのトゥルーエンドとは? - ヒナギク様に恋してるっ!!より

ヒナギクの初恋を通して、彼女の成長を読め、最後には告白ができた。
それがあるだけで満足しました。

それにしてもヒナギクが告白できてよかった。
本当によかった。

この記事を書くにあたりハヤテのごとく!全話を読み返してみましたけど、
かなり大変でしたね......。
最終話を含めて568話分、実際はヒナギクのまとめを3月中頃ぐらいから作り始めていたので、
多少話数は減りますが560話強は多かった。

また作内では西沢さんのルートエンドがあんなによく描かれていたので
普通の女の子が辿り着いた答え/西沢歩にしかできなかったこと。 - タカヒナの日常境界線
を出す運びとなったというのもあります。

やっぱり、ヒナギクの話を書くとなると、それと併せて西沢さんの話も書かないと
バランスがとれないんですよね。

西沢さんは「この一年に、間違いなんかなかったよ」と辿り着き、
ヒナギクは「思うだけじゃ、願うだけじゃ、奇跡なんて起らない」と答えを得た。
この二人が、ハヤテへの恋を通じて、何かしら手にしたものがあるのは、キャラクターにとっても、作品にとっても大きなことだと思います。

ヒナギク、お疲れ様でした。